【スカウティング】2021明治安田生命J1リーグ第10節、横浜FC VS ベガルタ仙台

分析

前回の記事で書いたように、スカウティング記事はあまり需要が無さそうなのですが、今回は時間が取れたので書いてみます。

まあ、直近一試合見ただけでスカウティングなんておこがましいなとは常々思っていますけどね笑

対戦相手が変わるとサッカーの内容も変わるもので、一試合のみでスカウティングしようと思うとどうしても想像に頼る領域も出てきてしまい、信憑性という意味ではグレーです。

でも読んでくださる方々がいる以上は、できるだけ白寄りのグレーになるよう努力しようと思います!

さて、次節の対戦相手は、同じ横浜を本拠地とする横浜FC。

マリノスにゆかりのある選手もたくさんいるので頑張ってほしいのですが、4チーム降格というレギュレーションの中で現状最下位と難しいシーズンを過ごしています。

一美選手、中山選手、斉藤選手、志知選手など主力選手の流出(レンタルバック含む)が相次ぎ、正直戦力としてなかなか厳しく、解任となった下平前監督はあまりに気の毒でした。

昨シーズンは資金力に恵まれない中でも、良いチームを作っている印象だったので、またどこかで監督をやってほしいですね。

前節は19位ベガルタ仙台との裏天王山でしたが、結果は2-2の痛み分けという結果に。

4-4-2同士のミラーゲームで、先制点、追加点と2点先行する展開も、ラスト10分からCKの2発で初勝利を逃しました。

選手評から雑感で書くと、ボランチの瀬古選手が攻守にかなり目立っていました。

攻撃ではパスを散らしゲームを作り、守備では独力でボールを奪い切る力強さも印象的でした。

相手GKが飛び出していると見るや、ハーフウェイラインからロングシュートを狙うアグレッシブさも備えています。

攻撃陣に目を向けると、個人的には途中出場のFWクレーべ選手に最も怖さを感じました。

シュートシーンはおそらく無かったかと思いますが、サイズがあってボールが収まりますし身のこなしにも雰囲気があります。

仙台戦のみを見ての印象ですが、攻撃面は良いものの守備での継続性に難がありスタメン起用には至らないのかなと感じました。

守備をするときの強度は渡邉選手よりも高そうですが、守備を継続できるタイプではないように見えたので、守備の時間が長くなる下位チームでは起用しづらいのかもしれません。

週中におこなわれたルヴァンカップでゴールをあげたようですが、逆に言うとそちらで試合に出ているので、おそらく横浜ダービーはベンチスタートでしょう。

では、横浜FCの組織力について攻守に分けて触れていきます。

<横浜FCの攻撃 ~悩める松尾と横浜ダービー~ >

横浜ダービーでは基本的にマリノスがボールを持つ展開になると思うのですが、後の説明のため横浜FCのボール保持時の狙いからあえて触れようと思います。

ボール保持時は3-3-4のような形に私には見えました。

最終ラインは左SB袴田選手だけを上げて3バック化することで、相手の2トップに対して「+1」を確保することが多かったです(これは下平前監督が柏レイソル時代にもやっていた策だと思うので、彼の戦術の名残りが見えますね)。

両SBを上げてボランチが降りるという形もありましたが、とにかく後ろは相手の1列目に対して「+1」の数的優位ですね。

最も特徴的なのは最前線です。

この図のようにペナ幅で守るであろう相手4バックに対し2トップと両SHをぶつける形を取っています。

伊野波選手から袴田選手へのサイドチェンジは間瀬選手にカットされましたが、「4トップVS4バック」によって最終ラインを中央に引きつけサイドに広大なスペースを生むということが大きな狙いでしょう。

(後半から氣田選手に代えて蜂須賀選手が入っているので、上図は石原→蜂須賀、氣田→石原が正しいかと思います。訂正させていただきます。)

このように先程と同様の形で、左サイドの袴田選手は大きなスペースを享受しています。

また別の場面では右サイドも、広いスペースで受けた小川選手と前嶋選手の連携からCKを獲得し、それが先制点につながっています。

サイドでのスペース創出のための4トップ化ですが、その戦術に最も苦しんでいるように見えるのが左SHの松尾選手です。

松尾選手は昨年切れ味鋭いドリブルで横浜FCの攻撃を支えたサイドアタッカーですが、今シーズンはベンチスタートの試合も度々見られます。

彼自身の調子が良くないからこういった戦術になっているのか、こういった戦術だから彼の調子が上がらないのかは定かではありませんが、彼にとって今の戦術は適正ポジションで起用されていないに等しいものがありそうです。

やはりドリブラーは広いスペースで前向きにボールを受けてこそだと私自身は考えているので。

相手を押し込んだ状態で右サイドから左SBの袴田選手にボールが渡ったシーンですが、この瞬間に松尾選手が本来いるべきポジションはタッチライン沿いではないでしょうか。

もちろん松尾選手がサイドに張ればここまで大きなスペースにはならないでしょうが、それでも左の幅に張っている選手がいることで相手のブロックを広げることもできますし、何よりサイドから仕掛ける松尾選手は相手にとって脅威だと思います。

渡邉選手もしくはクレーべ選手のポストプレーにある程度計算が立つので、サイドに張らせてあげていいのではないかと。

松尾選手を欲しいチームがあれば「サイドで勝負してみないか」という口説き文句はきっと有効でしょう。

この場面でも同様で、サイドから仕掛ける機会をもっと彼には与えてあげられるはずなのです。

32:15、カウンターの流れから前を向いてドリブルを仕掛ける場面がありましたが、やはり彼のドリブルには雰囲気があります。

今シーズンあまり活躍できていない松尾選手だからこそ、横浜ダービーは彼にとってチャンスであるはずです。

マリノスがボールを持つと想定されるこの試合で、横浜FCの攻撃はおそらくその多くがカウンターでしょう。

4トップになる必要もなく、彼がドリブルで勝負ができる最高の舞台なのです。

ドリブルの機会が減ってしまった今、昨シーズンほどのドリブルが繰り出されるかはわかりませんが、あまり調子が良くなさそうだという額面通りに受け取るのは少々危険です。

明日は適正ポジションで生き生きする松尾選手が出てくるかもしれませんし、どうかそれが杞憂に終わってくれたらと思います。

監督に額面通りに判断されてベンチスタートだったりしたらラッキーなのですがー。

<横浜FCの守備 ~とにかく人で敷き詰めて~ >

横浜FCの守備は、良くも悪くも人海戦術っぽい守備組織である印象を受けました。

守備は相当コンパクトで、2トップもかなり引いてきます。

西村選手のドリブルにかき回された後の展開とは言え、少々ポジショニングが整理されていないというきらいはありますが、とにかくボール非保持時は自陣に人がたくさんいます。

この図を見てもわかるように、マリノスとしてはサイドチェンジが一つの鍵になりそうですね。

扇原選手やティーラトン選手のサイドチェンジが見どころの一つになるかもしれません。

人がたくさんいると触れたのですが、その割に意外と選手間の門は開きくさびは入ります。

仙台の松下選手がSBの空けたスペースに降り、ビルドアップを助けます。

吉野→松下と渡ったボールに対して松尾選手のアプローチをきっかけにプレスのスイッチを入れますが、松下→赤崎ラインのくさびが打ち込まれます。

少しパスがずれたことで横浜FCとしては事なきを得ましたが、単に松下選手が上手かったと評するにはあまりにも危険なシーンです。

横浜FCの深い位置でのスローインからの流れなのでかなりごちゃごちゃしていますが、この場面でもスコーンとくさびが入り、赤崎選手の落としから氣田選手のシュートへと至っています。

74:50にもパスミスからのネガティブトランジション(攻から守への切り替え)で門を閉じるのが遅れ、あわやピンチという場面もありました。

この際に、GKの南選手のものと思われる「閉めろ!閉めろ!!」というコーチングが響いていたのも印象的です。

ですから、サイドチェンジは有効な手段ですが、中央に人がたくさんいるというだけでマリノスがサイド一辺倒の攻撃になるのは勿体ないです。

中央の攻略にも横浜ダービーでは積極的に着手してほしいなと思います。

<絶対に負けられない戦いがそこにはある!!>

昨シーズン最終節に苦杯を嘗めた相手ですが、ダービーで連敗なんてできません。

ここでしっかりリベンジしておきましょう!

前半のうちに先制点をあげて、ゆとりのある試合運びをしたいですね。

必ず勝利を収め、無敗でトップを走る川崎に食らいついていきましょう!

明日現地で観戦される方は感染対策に留意された上で、ぜひ楽しんで応援してください。

私もDAZNではありますが、正座で応援します!!

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