
祝、アウェイ札幌戦勝利!!
札幌とのアウェイゲームと言うと、個人的には2019年の0-3という苦い記憶が蘇りますが払拭してくれましたね。
ゴールが割れそうで割れない苦しい試合展開でしたが、結果的には久々の3ゴール!
これでまた攻撃の調子を取り戻してくれたら嬉しいですね。
今回は、札幌の守備に対するマリノスが用意した攻撃の策について記事にしてみました。
システムの噛み合わせの話が無いので、図は少なめですがご了承ください。
<オールコートマンツーマンに対する策>
札幌はオールコートマンツーマンという珍しくもチャレンジングな守備を敷きます。
こういう尖った戦術を取るチームは、勉強にもなるし興味深くて私は好きですね。
自陣のスペースを守るということのウエイトを下げて、ひたすら相手選手をマークすることに特化した戦術です。
ハイプレスをかけ相手にロングボールを蹴らせて、キムミンテ選手らが頭で跳ね返しボールを回収というのは普段よく見られる札幌の黄金パターンですね。
マークについては、誰が誰につくというのはある程度決まっていそうですが、状況によっては受け渡しもおこなわれていました。
受け渡す際のルールは、「どうしても受け渡さざるを得ない非常事態」もしくは「マークを交換した方が円滑にプレスをかけられる場合」の2つなのかなと見て取れました。
では、そんな札幌の守備に対しマリノスがどんな攻撃で対抗したかという点に触れていきます。
試合開始早々に一つのアイデアが見られました。


松原選手(27)のスローインからの流れでエウベル選手(7)にボールが渡った場面です。
マルコス選手(10)とのワンツーでエウベル選手が抜け出し、グラウンダーのクロス。
ボックス内には前田選手(38)がいて、その奥には小池選手(25)がフリーになっており決定的なシーンでした。
この局面、0:18の図でオールコートマンツーマンらしさがはっきり見えますよね。
3バックのセンターであるキムミンテ選手ですら降りるオナイウ選手(45)に執拗についていきます。
それぞれの対応関係もわかりやすいです。
菅選手は松原選手のマークですが、こうしてプレスバックして1対2を作るということも可能ならばおこなってくるようです。
非常に運動量が求められますし、ボスの試合後の「札幌の足が止まるのはわかっていた」というのも頷けますね。
こういった守備に対して攻撃側はいかにしてマークしてくる相手選手をはがすのかというのが求められます。
その策は大きく分けて2つあるのではないかと私は考えています。
①素早いパス回しで相手を置き去りにすること
②ドリブルで相手をかわして置き去りにすること
いずれもマンツーマンディフェンスの前提を覆すための策ですね。
オールコートで”1対1”のマッチアップを作るというのがこの守備なので、マリノスとしては①もしくは②で”1対0”にしたいわけですね。
前述のワンツーは①にあたります。
選手よりもボールは速く動くし疲れないので、相手から離れてはたいてのテンポ良いパス回しで相手を翻弄するという形ですね。
また、前述のシーンではエウベル選手と福森選手のマッチアップは、単純なスプリント力で比較すると明らかにミスマッチでもありました(58:29のエウベル選手VS福森選手からも見て取れます)。
②については、突っ込むように激しくアプローチしてくる相手をターンして横にかわすという場面がこの試合では多かったです。
これは札幌の守備に対する策としてあらかじめ用意されたものだと思います。
横にターンしても別の選手にボールをさらわれるリスクは札幌の守備だとあまり無いですしね。
おそらく読者の方々が最も思い出しやすいのは、マルコス選手が宮澤選手に倒され、マルコス選手が主審にカードを出してくれとアピールした20:53のシーンではないでしょうか。
一人かわされてしまうとこの守備の前提が崩れるので、宮澤選手としてはファールをしてでも止めたい。
マルコス選手としてはここでカードが出れば次からファールで止められなくなるからカードを出してほしい。
こういった場面でカードが出るか否かの重みは普段の試合より大きいという背景が、マルコス選手の怒りをはらんだアピールにはありました。
横にターンして相手をかわすシーンは自分のメモした範囲でも他に「34:16のオナイウ選手」「48:26のマルコス選手」「71:52のオナイウ選手」などがあるので、DAZNでこの試合を見返す予定のある方はぜひ気にかけてみてください。
最たるものは同点弾をアシストした天野選手(14)のターンでしょうね。
この試合に向けて準備した「相手をかわして”1対1”のマッチアップを”1対0”の状況にする」の中で最も美しいシーンが反撃の狼煙を上げたというのも何か象徴的ですね。
分析官のみなさんも嬉しいんじゃないかと思います。報われる瞬間ですね。
こうして選手やスタッフが一体となって一戦一戦臨んでいるんだろうなと垣間見えるのは、試合を戦術的に見てみようとする一つの醍醐味ですね。
<札幌の守備の課題>
遠い再戦に向けて、僭越ながら札幌の守備の課題を整理しておこうと思います。
一つは、ネガティブトランジション(攻から守への切り替え)に弱い点です。

札幌のチャンスから一転、ロングボールが前田選手に送られますが、札幌の選手はあまり帰陣できていません。
しかも、後方へファーストタッチした前田選手に対して田中選手ではなくキムミンテ選手が寄せてしまいます。
この後にオナイウ選手にパスが通るわけですが、中央は広大なスペースで札幌の数的不利に。
ここはマークを受け渡すべきではなかったはずですが、ネガトラ時に「誰が誰を捕まえるか」「そもそも人は足りているのか」などパニックが起きやすそうです。
もう一つはクロスへの対応が少し淡白な点です。
マルコス選手の決定的なシーン、オナイウ選手の同点弾、前田選手の逆転弾ー。
これだけはっきりクロスからやられているのは札幌としては苦しいところです。
オールコートマンツーマンでありながら、ペナ内ではゾーンディフェンスっぽいのが原因かもしれません。
人につく守備を普段しているので、どうしても局面での頭の切り替えができていないのではないかと思います。
いっそのことペナ内でもとことんマンツーマンにした方がいいんじゃないかとも感じますが、今後どうなるでしょうか。
次回の対戦までに、この2点がどれだけ改善されるかが気になりますね。
<御礼>
しばしブログを更新していませんでしたが、またできる範囲で更新していきたいと思います。
この間も当ブログを訪れてくださっていたみなさん、ありがとうございました。
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スカウティング記事は需要があまり無さそうなので今後どうするかはあらためて考えていきますが、スタメン発表記事とレビューは今後も書いていく予定です。
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今後ともよろしくお願いいたします!
次は横浜ダービーですね。
絶対に、絶対に、絶対に勝ちましょう!!
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