【レビュー】2021明治安田生命J1リーグ第25節、横浜F・マリノス VS ベガルタ仙台

分析

2試合連続の5ゴールで3連勝!

前節にも負けないほど最高の試合でしたね!

仙台のガチガチな守備ブロック、そしてJ屈指の守護神から大量得点なんて素晴らしいです。

どのゴールも良かったですが、チーム3点目はマリノスらしさが存分に出ていましたね。

2-0であの守備をするチームなんて世界にもそうそう無いでしょう。

前節の前田選手(38)に続き、今節はレオ選手(9)がハットトリック!

なかなかゴールが割れない展開の中で、1点目と2点目は強引に奪い取った感がありますしこれぞストライカーという活躍でした。

GKが出てくる高いボールに怖がらず突っ込む、振り向きざまに鋭いシュートを放つ、自身3点目も抜け出しから落ち着いてゴールへ流す。

体もかなりキレている感じがしますね。

2点目のシュートだけでなく、22:54、74:47と、ターンからシュートが非常にスムーズです。

なかなかチームに合流できなかったのもあって、横浜FC戦のデビュー弾ではもう少し動きがドタドタしていた気がしますが、あの時とは加速も違うかなと。

そして、マルコス選手(10)もゲームメイク、チャンスメイクと輝きを放っており、特にラストパスの精度がかなり高かったです。

守備でのハードワークを欠かさず、それがゴールというご褒美として返ってきたのも嬉しいですね!

チアゴ選手(13)が不在の中で、少ないピンチも高丘選手(1)を中心にクリーンシートで終えたことが素晴らしいです。

久々の出場となった渡辺選手(26)もパスの出し入れで良いプレーを繰り返していました。

少し心配だったのは途中出場のティーラトン選手(5)がサイドを破られることがたびたびあったことくらいですね。

2回目のワクチンを摂取したみたいなので、その副反応でトレーニングが思うようにできていなかったのかもしれませんね(ただの想像です)。

さて、今回の記事では、仙台の堅固な4-4-2ブロックを壊したマリノスの攻撃戦術について考察してみようと思います。

<5レーン理論で4-4-2を破壊する>

松永&ハッチンソン体制に移行したときから感じていることですが、対戦相手を意識した準備をアンジェ監督体制のときより綿密にするようになった印象です。

この日も、4-4-2でガッチリ守ることが得意な仙台に対して、その策をしっかり用意して試合に臨んだように見えました。

アンカーポジションにいるボランチの選手(このシーンでは扇原選手(6))で2トップをピン留めしつつ、2トップの脇でCBがボールを受けることが多かったです。

図にはしていませんが、直後の06:42も同様でした。

意識的に「相手の2トップ脇」を攻撃の出発点にしていた感じがします。

また、ここで注目したいのは小池選手(25)です。

大外にエウベル選手(7)が張る一方で、中にポジションを取っています。

今度は大外に小池選手、中にエウベル選手。

こちらの場面の方が5レーンに5人配置している様子が見やすいですね。

左サイドももちろん同様で、前田選手と和田選手(33)でアウトサイドレーンに張る役割とハーフレーンに侵入する役割を状況に応じて分担します。

ライン間に人をしっかりと配置して出たり入ったりしながらボールを動かしていました。

前に抜ける和田選手と入れ違うようにして降りるレオ選手にボールが入ります。

こういったボールを入れられるのはさすが畠中選手(4)ですね。

チアゴ選手も普段こういうくさびを打ち込むことはありますが、岩田選手(24)はこのプレーを選択することは無く(一度も無かったかも)、ほぼサイドへの展開のみでした。

普段はCBでは無いのでこのリスクは負わない、もしくはチームとして負わせないという判断だったのでしょう。

それにも関わらず右の攻撃にも手詰まり感が無かったのは、エウベル選手が中央にドリブルで切り込んでいくという仕事をしてくれることが大きいかなと個人的には感じました(後述する44:04のシーンなど)。チームとして絶妙なバランスですね。

5レーンがどうこうと言うよりは相手の守備の穴を突いた攻撃ができた場面です。

降りて受けるエウベル選手に仙台の左SB石原選手がついていきます。

マルコス選手との連携から、その空いたスペースにボールを送るとレオ選手が走ります。

当然、相手の左CB福森選手がついてきますが彼のいなくなったスペースへ今度はエウベル選手がランニングし、マルコス選手からラストパスを受けシュートへ。

とにかく相手選手のいなくなったスペースを利用してブラジル人トリオで崩した素晴らしい連携でした。

最後はマルコス選手のパスが凄すぎますけどね。

こちらはチャンスにならなかったシーンですが、ライン間で人とボールを出し入れする攻撃を繰り返しつつ裏へのロングフィード。

結局ボールは繋がらないのですが、「大きい展開もあるぞ」と見せることで、コンパクトに保ちたい相手守備ブロックを牽制できています。

この試合では扇原選手がこの位置に流れることがいつもより少し多かった気がしますが、このボールを前半のうちに一度は蹴るように指示が出ていたのかもしれません。

先ほど、左は前田選手と和田選手を2ラインに配置すると書きましたが、和田選手が降りて前田選手がサイドに張っているこの状況では喜田選手がハーフレーンに侵入する動きを見せています。

チームとして5レーンを意識できている証かなと思います。

畠中選手同様、和田選手が当たり前のようにライン間へスッとパスを通すのが素敵ですね。

最後はレオ選手のシュートへと繋がります。

今度は、相手の守備ブロック間に前田選手、マルコス選手、レオ選手と綺麗に3選手を配置しています。

さり気ないのですが、畠中選手は前田選手にくさびを入れるようなモーションで和田選手へと展開しており、結果、中原選手の足を止めています。

その結果、大外からの前進に易々と成功。

仙台の守備を自陣に押し込み、扇原→マルコス→和田と経由して、最後は和田選手のシュートがポストを叩きます。

こちらは、右の攻撃が停滞しなかった理由を象徴するシーンですね。

右のエウベル選手が中に切り込み、マルコス選手とのワンツーでブロック間に侵入し最後はシュートまで。

前節の大分戦で左に攻撃が偏りがちだったのは、エウベル選手のベンチスタートも理由の一つだったのかなとも感じました。

ただ、仲川選手(23)もこういったプレーはできると思いますし、チームでそのあたりの分析は整理されていると思うので期待したいですね。

降りてきたマルコス選手に小池選手からパスが入ると同時に、富田選手の開けたスペースに和田選手が侵入します。

中原選手がついて来ないなら扇原選手から自分がボールを受ければ良いし、ついて来るなら大外で待つ前田選手へのパスコースがガラ空きになるというクレバーな走りですね。

前田選手へのパスがミスになったのは残念でしたが、マリノス側から見て右に寄っている仙台の守備が戻る前にと球足の速いパスを出そうという意図は素晴らしかったと思います。

その後、レオ選手の2点目、ハイプレスからの3点目で試合自体は壊れた感があり、仙台の守備も綺麗なブロックを作って守る感じでは無くなります。

詳細は割愛しますが、得点の欲しい仙台は攻撃の流れからそのままハイプレスへと移行しています。

和田選手に2人ついている分だけ渡辺選手がフリーになっていること以外、近くはハメ込むことができていて、その渡辺選手にもこの後間瀬選手がつくことになります。

それでも華麗にパスを回し前進できたのは、名古屋戦のレビューで書いたマリノスの武器「マークをスッと外してパスを受けてボールをはたく、この繰り返しで流動的にボールを繋ぐ」があるからこそですね。

戦術的と言うよりも技術的な解決策ですが、惚れ惚れするようなパス回しでした。

最後は小池選手のシュートまでしっかり結びつけています。

相手からしたら引いて守ってもダメ、ハイプレスでもダメ…マリノスは本当に恐ろしいチームです。

<昨年度王者の背中が見えてきた!>

首位の川崎は苦しんでいるように見えますが、それでも未だに無敗というのはさすがですね。

一方で、ひたすらに勝ち続ける凄みが今のマリノスにはあります。

間違いなくJリーグ史上最高の優勝争いでしょうね。

その当事者として戦える選手やスタッフ、応援できる私たちファン・サポーターはそれだけで幸せです。

また2年ぶりに最終節が優勝決定戦になるかもしれませんね。

でも最後は必ず、マリノスがホームでシャーレを掲げましょう!

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