(お時間を取って当ブログにお越しいただきありがとうございます!本記事を読みつつ4連勝に再度浸っていただけたら幸いです。)

難敵鳥栖に4-0の快勝!
とは言え、なかなか難しい試合でしたね。やはり鳥栖は良いチームです。
思うようにやりたいことをやらせてもらえない試合でしたが、そんな中でもしっかり勝ち切ったことが大きいですね。
首位川崎が初黒星ということで勝ち点差はいよいよ1となりました。
川崎が選手層で苦しんでいる今だからこそあらためて感じること。
それは「ベンチにクオリティの高い選手たちが万全の準備をして揃っていることのありがたさ」ですね。
スタメンで思うように出られなくともチームに残ってくれる実力者たちに感謝ですし、いつもスピード感あふれる補強をする強化部のみなさんにも感謝です。
カップ戦を敗退したのもあって数人の選手がチームを離れることになったのは心から残念でしたが、それでもリーグ一本を戦うには十分すぎるほどの戦力ですね。
古巣キラー水沼選手(18)のゴール、そして仲川選手(23)の今季初ゴールは個人的に嬉しかったです。
途中から出てくる天野選手(14)は反則すぎるカードだと思いますし、渡辺選手(26)はベンチにも入れない苦しい時期を乗り越えてマリノスで勝負し続けることを選んでくれました。
2019年の最終節におよそ半年ぶりのスタメン出場ながらボランチを華麗に務めた和田選手(33)は今や左SBでレギュラー格の選手です。
表舞台で戦う選手、なかなかその機会を得られない選手・・・様々な選手の日々の努力がマリノスを支えているんだなと感慨深い思いになった第26節でした。
今回の記事では、鳥栖の守備に対する高丘選手(1)の攻撃での活躍を振り返ります。
<現代サッカーの申し子的GK高丘陽平!>
まず、マリノス対策としてサガン鳥栖が準備してきた守備について触れておきます。

基本的にはオールコートマンツーマンに似た形です。
積極的にプレスをかけてビルドアップを阻止することを今回の鳥栖は目論んできました。
ただし、明確に誰が誰につくと決まっているわけではなくて、マークを受け渡すこともあります。
ですから、例えば降りるレオ選手(9)に樋口選手がついて、前線に残るマルコス選手(10)にエドゥアルド選手がつくというシーンもありました。
オールコートでぴったりついていくと守備のバランスが崩れたり体力的にもリスクが伴うと判断したのでしょう。
守備のバランスという点で言えば、オールコートマンツーマンには下図のようなリスクもありますしね。

一方で、マリノスの先制点はそんな鳥栖の守備システムの隙間をついた素晴らしいものでしたが、これは後述させていただきます。
さて、Home名古屋戦の記事で書きましたが、積極的な前からの守備を行う相手に対してマリノスには2つの武器があります。
それは「フリーになる高丘選手の活用」と「流動的なパス回し(”マークをスッと外してパスを受ける”をみんなで繰り返す)」の2つです。
鳥栖戦に関しては「流動的なパス回し」は正直あまり上手くいきませんでした、と言うよりあまりやろうとしなかったように見えました。
試合開始してすぐ鳥栖の決定機がありましたし、ボールを奪われたときのことを考えるとなかなかリスクが取れなかったのかなと。
相手を自ゴール側に置き去りにしてパスを受けに行く怖さがこの試合にはあったのだと思います。
そんな中で猛威を振るったのはもう一つの武器、高丘選手でした。

1ステップ、しかも左足で一気にエウベル選手(7)へ。
惜しくも繋がりませんでしたが、判断としても素晴らしいです。
ビルドアップとは「数的優位を生かしつつボールを丁寧につないでいく」ことだと思います。
では、今回の試合のように後方でなかなか数的優位が生まれづらい中で丁寧につないでいくことに固執すべきなのか否か。
もちろんそれがマリノスらしさですし、私もそれを期待しちゃいます。
ただ、相手がマリノスのやりたいことを防ぐために、後方の数的同数というリスクを引き受けているならそれを突いていくのも良いのではないか。
少なくともたまにはそのアクションを見せて、相手に対し牽制くらいはすべきだと私は考えます。
こちらの強力なチョキに対して相手がグーを出してくるなら、鋭いハサミで石を削ってもいいけど、たまには紙で石を包んでもいいのかなと。
(話は飛びますが、多少アバウトに相手の急所を狙うこともOKとハーフタイムに確認した結果があのPK奪取に繋がったようにも感じます)

再度高丘選手がロングボールを試みていますが、このシーンは馴染み深いパク選手の大胆な飛び出しでクリアされます。
なかなか難しい前半となりましたが、前半終了間際に高丘選手のパスセンスが先制点を引き寄せることになります。

岩田選手(24)から前線にいた松原選手(27)へと出したパスが流れレオ選手、そしてマルコス選手へ。
体勢を崩す中野(嘉)選手を尻目に、松原選手は前線へ走ります。
この攻撃は一旦クリアされて、ボールは高丘選手まで戻ってきます。

マークを受け渡す鳥栖の守備戦術が裏目に出た瞬間です。
中野(嘉)「一旦扇原さんをマークしつつ松原が最終ラインに戻ってくるのを待とう」
仙頭「松原さんがもうすぐ戻って来るだろうからそろそろ扇原さんのマークだな」
ピンチをしのぎボールが高丘選手まで戻ってきたことでほんの一瞬油断したのか、松原選手のことをこの瞬間だけは誰も見ていません。
そして、恐ろしいのは高丘選手です。
一瞬できたマークの空白を見つけつつ、顔には出さずゆっくりボールに近づいて「一旦ボールを落ち着かせますよ~」という雰囲気を出す笑
一転、ダイレクトで正確なフィードを松原選手へ。
奪われると大きなリスクになる中央を平然と通してしまうスキルと度胸、力まずにビッグプレーをやれる冷静さ。
仙頭選手は慌てて松原選手を捕まえに行きますが、捕まる前のわずかな時間で高精度スルーパスを放つ松原選手も巧みです。
最後は抜け出したレオ選手のラストパスから前田選手のゴール。
鳥栖の一瞬の隙をきっちりゴールにしてしまうマリノスはすごいですね。
この先制点に触れることができてそれだけで満足なのですが、高丘選手についてはもう一つだけ。

後半開始早々のプレーですね。
小屋松選手の快速プレッシャーを受けつつも、レオ選手とスペースで待ち合わせるという難易度の高いボールを蹴れてしまう高丘選手はそのキックだけでもお金が取れる存在でしょう。
ゴールを守るという仕事ができることを前提に、足もとの技術も求められがちな現代サッカーのGK像を体現した完成度の高い選手ですね。
<余談1>
前述の名古屋戦の記事で「フリーになる高丘選手の活用」と「流動的なパス回し」に続く3つ目の武器になり得ると書いたのが「杉本選手が降りてフリーになる」でした。
マリノスのFWらしくない杉本選手の降りがちなポストプレーですが、2つの武器で苦しければこれも十分ありなのかなと。
この試合の1トップはレオ選手でしたが、いつもよりは中盤に降りていたように見えました。
これは鳥栖にとっても誤算だったのでは無いかと思います。
「マリノスの1トップは降りない約束じゃないのかよ」「杉本が中盤に降りないように指示を受けてるって記事も見たぞ」と。
レオ選手にエドゥアルド選手がついて行く間に彼が不在になった最終ラインにロングボールを蹴られたら嫌なので、どうしてもマークを樋口選手に受け渡さないといけないことも多かったです。
しかし、レオ選手はエドゥアルド選手が相手でもボールを収められる選手。
そんなレオ選手に樋口選手がつくのはさすがにミスマッチでした(樋口選手は良い選手ですがやっぱり攻撃の選手かなと)。
<余談2>
実現可能性はおそらく0ですが、鳥栖がおこなった対策への対策として4-4-2という策も個人的にはありかなと思います。

鳥栖のシステムの隙間に選手を配置することができるのが利点です。
樋口選手の脇でマルコス選手(たまにエウベル選手)がボールを受けると鳥栖は困るのでは無いかと。
それを嫌がってきっちり人をつけてシステムを噛み合わせてくるなら・・・

さすがに前田選手のいる2トップに対して2バック状態は怖いですよね。
だからと言って・・・

スペースを埋めるために4バック気味にするなら、マルコス選手がトップ下のように振る舞った際に苦しいです。
1列ずつ下げるとマリノスのSBが空きますし、相手は困るのではないかと。
ただし、守備に回った際にマルコス選手がSHの守備をしないといけない点はネックですね。
チーム加入当初はやっていましたし出来ないわけでは無いと思いますが、少なくともあまりやりたくは無いでしょうから。
<5連勝で一気に首位へ!?>
次節は最近相性の悪い鹿島アントラーズが相手です。
でもホームですし、前半戦の借りもきっちり返したいですね!
首位の川崎も得点力が落ちているとは言え、次節に簡単に首位の座を明け渡すつもりは無いでしょう。
欲を言うなら次節で一気に首位に立ちたいですが、「結果は後からついてくる」とどっしり構えて、一試合ずつ一歩ずつ、ただ勝利を信じ応援しましょう!!
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