【レビュー】2021明治安田生命J1リーグ第27節、横浜F・マリノス VS 鹿島アントラーズ

分析

(お時間を取って当ブログにお越しいただきありがとうございます!思い出したくない悔しい試合だったかと思いますが、何かポジティブな印象を持って次節に向かうことができたら幸いです。)

悔しい・・・。

これが相性というものなのか・・・。

いや、鹿島の策がハマってしまった試合と言うべきですかね・・・。

マリノスもこの守備を崩せるのはやっぱり強いなという瞬間はあったのですが、結果的にはノーゴール。

後述しますが、鹿島の守備組織に対して相手の弱みをつく策をマリノス側も持っていましたが、鹿島のギリギリの計算の上に敗れてしまったのかなと。

気がかりなのは畠中選手(4)の状態ですね。

鳥栖戦を見ても明らかに疲労はたまっている様子だったので、それが怪我という形で出てしまったのは残念です。

きっと、この試合までなんとか耐えてくれという思いでチームは起用し、本人もそのつもりで戦ったのだと思います。

その判断が悪かったとは思いませんし、實藤選手(19)をベンチに入れておいたのは良い判断でした。

負傷時の様子を見るに1ヶ月ほどで戻ってきてくれたら幸運かもしれないとすら思いますが、とにかく大事に至らないことを切に願います。

今回の記事では、悔しい敗戦の中に見えた光明について書いていこうと思います。

<相手に応じたサッカーができる狡猾なマリノス>

負けといてこの見出しというのもどうかと思われるかもしれませんが、この試合中に攻撃でいろんな表情を見せてくれたマリノスはやはり強いチームだなと感じました。

まず、鹿島の守備の特徴について触れておきます。

鹿島の守備の最も厄介な点はマリノスがサイドを攻略しようという場面で、CBが積極的にサイドに出て来ることですね。

この場面では、サイドに抜けた小池選手(25)に対して町田選手が出てきて、ピトゥカ選手が最終ラインを埋めています。

ピトゥカ選手のいたボランチのポジションは和泉選手が埋められる位置にいるのでなかなか堅いです。

このシーンでは岩田選手(24)までバックパスせざるを得ませんでした。

マリノスがカウンターを繰り出した流れでピトゥカ選手も町田選手もサイドに釣り出されていますが、このシーンでは三竿選手や永戸選手がペナ内を埋めています。

この図を見てもわかるように、鹿島の守備は「とにかくサイドをやらせない」「ペナ内には人をしっかり配置する」という意識が強く、一方で「バイタルエリアは多少空いても良い」「ミドルシュートは打たせてもOK」という感じなのかなと。

サッカーではどこを守ってどこを捨てるかという判断が時に求められますが、「マリノスにミドルを打たれる」のは鹿島の捨てている部分です。

それに対してマリノスも、天野選手(14)やマルコス選手(10)が惜しいミドルを打てたのは相手の捨てている弱みを突いたとも言えますし、ボールを保持したいというだけでなくミドルシュートも期待しての天野選手の起用だったのかもしれません。

その2つの場面も簡単に振り返っておきましょう。

仲川選手(23)、マルコス選手、小池選手で右サイドを突破し、マイナスのグラウンダーを天野選手のミドルシュートです。

小池選手に深いところへ侵入されたのもありますが、やはりバイタルエリアは空いていました。

左サイドの天野選手から中央の小池選手にグラウンダーのクロス、そして前田選手(38)、再度小池選手とボールを経由し、最後はマルコス選手のミドルですね。

ボール1個分程ずれたような非常に惜しいシーンでした。

このあたりはギリギリの勝負のあやですよね。

鹿島の捨てている部分を突いてマリノスがゴールできていれば、鹿島の守備組織への自信が揺らぐような心理的にも大きいゴールだったでしょう。

一方で、結果的にはゴールを得られず、鹿島の捨てたところは大事には至らずに済んでしまった。

結果がすべてのプロの世界ですから、勝った鹿島の策がマリノスの策をこの日は上回ったと言うほかありません。

ただ、ミドルシュートの得点を増やす(ボランチの得点力を高める)という点は課題として残ったかなとは思いますが、自分たちのストロングポイントが生きない試合では相手の捨てた場所を突くことができるというのは強いチームの条件かなと。

たとえ敗れるにしても、健全な駆け引きはされていたと思います。

さて、時間は戻って04:17、こんな攻撃もしていました。

鹿島のコンパクトなブロックを逆手に取って、岩田選手から対角のロングフィードが蹴られます。

注目すべきは中央に陣取る和田選手(33)で、土居選手を引っ張ることで前田選手へのプレスバックができないようにしています。

この場面では前田選手のトラップを常本選手に狙われ、最後は前田選手のファールに。

前田選手をフリーにしようという和田選手の動きはその後も見られました。

2つのシーンを同時に載せましたが、いずれのシーンも和田選手が中央に位置して土居選手を引き出し、岩田→畠中→前田とボールが繋がっています。

しかし、前田選手はボールを前に置くことなく結局バックパスに。

このあたりはちょっと勿体なかったですが、攻め筋としては悪くないと思います。

前田選手も疲れはあったでしょうし、いつもと違ってSBを突破できてもCBが積極的にサイドに出てくると思うとチャレンジもしづらかったことでしょう。

そもそもとして生粋のドリブラーというわけでは無いですから、時にはこういうこともありますね。

ただ、土居選手にスペースを守るか人(和田選手)を守るか判断させるというのは、対鹿島を考えると有効でした。

後半にエウベル選手(7)を左に置いたのはまさにそこが狙いでしょうし、エウベル選手を左に置いてすぐ決定機が生まれたのも偶然では無いと思います。

鹿島の守備を褒めるべき試合ですから前田選手がどうこうというわけではなくて、あの守備を相手に一人ではがしていけるエウベル選手が異次元すぎました(心強い)。

一人はがすというプレーのできそうな仲川選手でさえも、鹿島のカバーリングのタイトさには苦戦していましたしね。

こう語るとエウベル選手がスタメンの方が良かったかもしれませんが、まあ結果論です。

スタメン発表時点ではこの日のベストな布陣だと私も思っていました。

それでも前半からなかなか上手くいかない中、交代カードで適切なテコ入れをしてきたという事象はベンチワークの優秀さとしても良いのではないかなと。

結果的に負けているので、この日の采配には賛否あるのも当然ですけどね。

図にはしませんでしたが、61:40には水沼選手(18)のアーリークロスから杉本選手(41)のあわやというシーンもありました。

サイドに出ていくタスクを担うCBは裏への意識が弱いだろうということを指示されていたのかもしれませんし、水沼選手個人の判断かもしれません。

いずれにしても、鹿島の守備の弱い部分を突くアクションが実はこの試合でたくさん行われていたように感じますし、それは素晴らしいことです。

ノーゴールで終わったのは残念でしたが、こういうことのできるチームには長い目で見て結果がついてくるはずです。

<首位奪取へ向け仕切り直し!>

首位との勝ち点差がまた4となりましたが、川崎もあまり内容は良くなかったので勝ち続ければ優勝は見えてくるはずです。

個人的には、優勝はもちろんとして最終節を待たずに首位に立つだろうという思いは全く変わりません。

8月の過密日程で勝ち点をしっかり積めたのは素晴らしいですし、良い反省ができて中断期間に入るのも良いことだとポジティブに。

マリノスは払った授業料の元をきっちり取り返してくれるチームです。

また仕切り直して勝利を重ねていきましょう!!

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