私の考えるビルドアップ論②

戦術論

以前の記事の続きとなります。

前回の話は、実際のサッカーの現場でもある程度生きる話だったのではないかと思います。

しかし、今回の話は正直なところ机上の空論感満載です。

あくまでも、一つのアイデアや考え方として、ファンタジーのような視点でお楽しみいただけたら幸いです笑

<基本的な考え方>

基本のフォーメーションは4-3-3です。

SBはビルドアップ時はアンカー脇が基本ポジションです。偽SB(ファルソ・ラテラル)ですね。

中央の数的優位を生かしつつ「時間とスペース」というバトンをつなぎビルドアップする方針です(また、中央に人を集めるので、被カウンターにも強い構造です)。

上図の黒いスペースは、相手にはめられやすく展開もしづらい割に失うとピンチになる、ハイリスク・ローリターンなスペースなので基本使いません。

ただし、ビルドアップがうまくいかず相手にはめられそうになった際に緊急避難で使うことはあります。

その際は、SBが緊急避難エリアへさっと降ります。図で相手側は6番も7番も、こちら側の10番、11番へのパスコースが開くのでついていけません。

易々とGKまで戻せるのでやり直せばOKです。

時にはWGが降りる、CBが大きく開くという形もあります。

ボステコグルー体制1年目のマリノスでもWGが降りて助けることはよく見られましたね。

相手が4バックなら、中盤以下8対6になるので数的優位を生かしてビルドアップしていきます。

相手が3バックで中盤以下8対7になるなら+1の優位性で繋いでもいいですが、前線は3対3なので4回に1回勝てればOKとロングボールで勝負するのも有効です。

広大なスペースで相手ゴール側かつ数的同数、シチュエーションとしてはローリスク・ハイリターンですね。

CFがハイボールに強くWGがスピードに秀でていれば更に分の良い勝負になるでしょう。

偽SBの定番ですが、相手が中央をケアしてSHが絞る際には、WGへのパスコースが開くのでそこを通して単独突破もしくはIHやCFとの連携で最終ラインを突破します。

<机上の空論>

ここから机上の空論感満載です。

サッカーは自チームが14人(青+紫)いれば、相手11人を効果的に突破していくことができると考えています。

前線に最大5人(CF、左右WG、左右シャドー)で、5レーンに1人ずつ配置。

中盤も最大5人 (左右IH、アンカー、左右SB)。

最終ラインは最大3人(中央CB、左右CB)、そしてGKで計14人です。

各ゾーンで最大人数を超えるとビルドアップするには窮屈になるので、15人は過剰であり、14人がちょうどいいです。

もちろんサッカーは11人でするスポーツなので、実際は上図の紫の選手のように人がいないポジションが出てきます。

しかし、ボールの位置によって、この開いている紫のゾーンに選手が入り込む、つまり14のポジションを11人で回していくことで相手の守備ブロックを突破していくことができるでしょう。

また、このシステムのメリットは2点あると考えています。

①14のポジションを11人で回していくという意識を持つだけで、自然と流動性のある攻撃ができること。

②14のポジションをどう埋めているかで、仲間にどこからどう攻略するというメッセージを伝えられること。

つまり、「システマチックに流れのある攻撃を構築することが可能であり、チーム全体で同じ絵をえがくことができる」ということですね。

いくつか例を見てみましょう。

確認ですが、紫のポジションは空いていて味方選手はいません。

簡単な例から。CBが少し開いた際に相手FWがついていくならアンカーにボールをつけます。

もしもついていかないならCBを経由して中盤の選手にボールを繋ぎます。

このように、カバーシャドウでパスコースを消しつつ寄せてくる相手にも有効です。

相手9番が2番をカバーシャドウで消しつつボールへ寄せます。

そのときには、8番へ当てて2番(もしくは6番)に落とすというレイオフを行います。

カバーシャドウに対しレイオフは相性が良いので、3歩進んで2歩下がるという前進は駆使しましょう。

また、相手の1列目と2列目の中央のエリアにボールを置ければ仲間が拾える配置になっているので、中央のエリアにボールを置く意識があるだけでスムーズにボールが回ります。

相手がそれを嫌がって4-4-1-1などにしてくるようなら1-1の脇から運ぶドリブルを織り混ぜつつボールを前進させましょう。

相手2トップに対して、最終ライン3枚でボールを持ちたい場合の例です。

アンカーの選手が中央CBの位置に降りて、アンカーの位置に左SBがスライドします。

前述したメリット②がこれですね。

左右非対称なので、右から崩していく共通認識をチーム全体で持つことができ、各々のやるべきことがはっきりします。

例えば、左IHは「右から崩すということだな。左が開くから、自分はボールを受けたら左WGへの展開を選択肢上位に持っておこう」と考えられるというわけです。

この図では、中央CBの位置にアンカーが降りましたが、足もとの技術に定評のあるGKがペナ外に上がっても構いません(さすがに左右CBのちょうど間までは上がりませんが)。

その場合、中盤の数的優位がより確保されます。

このように、片方のSBが降りて、CBが中央に移動するのもありです。

崩しの局面についても考えていきましょう。

例えば右WGの選手にボールが入ったら、右シャドーの位置にIHが入ってきます。

シャドー化した10番とワンツーで裏に抜けるということもできますし、次のようなこともできます。

シャドー化したIHがチャンネルランをします。

誰もついていかないならスルーパスを出せばいいですし、CBがついていくならCFにボールを当てることができます。

もちろん、相手のボランチがついていく可能性もあるでしょう。

相手のボランチがチャンネルランについていくようなら、右SBがIH化することでフリーでバイタルに侵入できます。

次は、少し異なる動きも考えましょう。

WGは基本的に横幅を確保する役目を担いますが、こうして機を見てシャドーの位置に入り込むシーンも出てくるでしょう。

その際には、SBが横幅を確保に走れば自然と旋回により相手のマークの対応にも困難が生じるはずです。

余談ですが、WGは相手との1対1で突破できる選手が好ましいです。質的優位で殴れる選手は「一人で時間とスペースを新たに生み出せる選手」であり価値が高いです。

他にも

・後方からのビルドアップ:6番へレイオフ→運ぶドリブル→相手6番を引きつけて10番へ→ドリブルで最終ラインまで侵入

・崩し:CFへのくさび→シャドー化したIHに落とす→裏に走るWG

など、14のポジションで11人を動かそうとすると楽しみつつ崩しのアイデアが浮かんでくると思います。

様々な崩し方ができるので、みなさんもぜひアプリを使ったりマグネットを動かしたりして楽しんでみてください。

<デメリットへの対策>

このように、相手と噛み合わせないために攻撃時と配置が異なる可変型を採用する場合は、ボールを奪われた瞬間に守備ブロックの配置とは大きく離れていることが多少の悩みです。

ですから、チーム全体でネガティブトランジションは肝になりますし、不用意にボールを奪われないことも大切ですね。

ただ、中央に比較的多く選手がいますので組織的かつ迅速なネガトラ時のプレッシングで、被カウンターを防いだりチームとして意図する方向へ相手の攻撃を誘導することは可能ではないかと思います。

カウンターへの耐性は意外と大きいはずです。

開いているサイドのスペースをシンプルにロングボールで突かれるリスクはあるので、走力に優れカバーリング能力の高いCBがいると助かりますね。

<まとめ>

机上の空論、おとぎ話の世界の記事でした笑

でも、ビルドアップを考える際のアイデアとして「14のポジションを11人で回していく」というのは、流動的な攻撃の実現のために面白いアイデアではないかなーとも思っています。

楽しく読んでいただけたら幸いです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました